2018年9月12日水曜日

いわゆる「ハゲタカ・ジャーナル」にご注意ください


                             2018年9月12日
各 位
                  医学メディアセンター長  西脇 祐司
                  習志野メディアセンター長 渋谷  寛

       いわゆる「ハゲタカ・ジャーナル」にご注意ください


 近年,オープンアクセスジャーナルの増加とともに,著者からAPC:Article 
Processing Chargeを搾取しようとする,いわゆる「ハゲタカ・ジャーナル」が
問題になっています。

  9月3日(月)付け毎日新聞朝刊に「粗悪学術誌 投稿5000本超」という記事が
掲載されました(毎日新聞のウェブサイトでは「粗悪学術誌 論文投稿,日本
5000本超 業績水増しか」)。
https://mainichi.jp/articles/20180903/k00/00m/040/110000c
 粗悪学術誌とは,「ハゲタカ・ジャーナル」のことです。この記事では,これ
らの雑誌を医学,化学,物理学,経済学など幅広い分野で320誌以上を発行して
いる出版社があり,その出版社の雑誌に2003~2018年5月までに掲載された約8万
4000本の論文を調べたところ,「日本と関係する論文は5076本で,うち筆頭著者
が大学・研究機関に所属する論文は3972本あった」ことを報じました。有名大学
からの投稿も多かったことから,「国際誌で成果を発表したという業績を積むた
め,意図的に使う研究者が存在すると考えざるを得ない。氷山の一角かもしれな
い」と指摘しています。
 「ハゲタカ・ジャーナル」は,論文の質が十分に保証されていない事が多く,
掲載されても学術的に妥当でないと疑われる怖れがあるといわれています。過去
には研究者に無断で過去の論文を掲載したり,無許可で研究者を編集委員に入れ
てしまう出版社もあったりしたことをNatureが紹介しています(*)。オープン・
アクセス誌の形態をとっていること,メールによる投稿の勧誘が多いこと,雑誌
名が歴史ある雑誌と似通っていることなどが特徴として挙げられます。
 このような雑誌で論文を公開しても,それが業績として評価されるか疑問です。
むしろ,業績に挙げた論文に「ハゲタカ・ジャーナル」があることで,キャリア
に傷がつく怖れもあります。
論文の投稿の際,くれぐれも「ハゲタカ・ジャーナル」にはご注意ください。

*Sanderson K. “Two new journals copy the old”
 Nature. 2010 Jan 14;463(7278):148
  https://www.nature.com/news/2010/100113/full/463148a.html

■メディアセンターでは,「ハゲタカ・ジャーナル」に関する情報をウェブサ
イトにて公開しております。どうぞ参考にしてください。
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/mc/oa.php

■論文の投稿先を検討する際のお役立ちサイトとして,以下URLページが参考に
なります。
Think,Check,Submit  http://thinkchecksubmit.org/
簡易日本語版      http://thinkchecksubmit.org/translations/japanese/
 ・著者が自身の論文を雑誌に投稿する際のガイドラインを,Think,Check,
  Submitの3つのステップにまとめています。


                                  以上